この1.2年で急増した疾患の一つ、帯状疱疹ヘルペス。
昔多くの方が、子どもの頃に水ぼうそうを経験されたと思います。発症原因となっているのがその「水痘・帯状疱疹ウイルス」。
3月の来院者2名は脇の下から胸部・腹部にかけて発症。4月の来院者2名は腰部から臀部に発症。
神経に沿って身体の左右のどちらか一方に、帯状になって症状がでていました。
最も心配なのは、皮膚症状がおさまった後、神経痛などの後遺症が生じることです。
「帯状疱疹後神経痛」とよばれ、つらい痛みが長く続く場合があります。
《帯状疱疹後神経痛の原因として考えられること》
①ウイルスが神経に損傷や変性をもたらし痛みを発生させるケース。
②「強い痛み記憶」として脳に入力され、生理的な痛みとして復元するケース。
①に関しては、これまで東邦大学病院の麻酔科ペインクリニックで青山医師のもと、東西医学的に診てきました。②に関しては、浜松医科大学附属病院の心療内科に始まり千代田国際クリニックに至るまでの8年間、故永田勝太郎医師とともに臨床と研究を重ね心身医学的に診てきました。
【当院での治療】
当院では発症から2、3週間でかさぶたが剥がれ落ちる時期から治療をスタートします。
お灸を中心に、体の深い場所まで熱を入れ、その熱をそのまま閉じ込めていきます。1ヶ月〜3ヶ月のあいだで治癒できれば、その後の神経痛の心配はなくなったと考えられます。
この時期に小さな痛みだからといって、無理をしてしまうと難治性の神経痛に移行するケースも多々ありますのでご注意下さい。
【補足】
水ぼうそう感染後には抗体がつくられますが、水ぼうそうが治癒した後でも神経の根元にある神経節に潜伏します。普段は抗体の力で押さえ込まれていますが疲労・ストレスなど免疫力が低下ふると、ウイルスは再度活性化して増殖し、水疱がでてきます。
ウイルスの増殖は…
皮膚症状の発症から72時間(3日)でピークに達します。
1週間ほどで、知覚症状を強めながら皮膚に赤みを帯びた小さな水疱の群れが現われ、1週間~10日赤くただれたような状態になります。
数日でかさぶたとなり、やがて剥がれ落ちます。こうして皮膚症状はおさまり、知覚症状も消えれば完治と考えてもよろしいかと思います。
※帯状疱疹を重症化させないようにすることが重要です。