「介護」についてあれこれ考えていた時に、母の介護について実体験をもとに本を出版した作家さんと、介護について討論する番組をみました。
「子やご家族が親を介護をすること」
「専門家や施設の力を借りて介護すること」
討論の番組でも正解はなく、それぞれの気持ちや事情に沿って、相談しながら…というような結論に至りました。
ちなみに、その作家さんは自分が納得する為に自分で実母を100%介護されたそうです。
本日も老人介護施設に訪問マッサージに伺ってきました。マッサージ中のお話からきっと施設をご利用されているご家族にも様々な事情や葛藤があるのだと想像しています。
私は家族ではない患者さんをマッサージしていることになりますが、患者さんの気持ち良さそうな顔をみて、家族ではないけれど、「てあての力」がしっかり伝わっているのだと実感しています。
施設では、筋肉や浮腫に対してマッサージと筋力トレーニングをしています。その中で認知症も進み、ほぼ寝たきりになってしまい、筋力低下が著しい方には「軽擦」という、さするようなマッサージをしています。このさするような「軽擦」をする時「てあての力」を顕著に感じます。
「軽擦」をする時に気をつけている事は
・求心性に(心臓に向かって ※血流)
・より手を密着させて
・身体の中心部へ、全体をみながら
・筋肉と骨の付着部位、筋肉の起始停止
・関節をまたいで
という点ですが、
この「てあて」はご家族がやってあげる事でより安心したり、効果が得られる場合と、ご家族ではないからこそ余計な雑念なしに、心身が安まる場合、患者さんとご家族の関係性によるところが大きいです。
私が「てあて」で思い出すのは
祖母の「さすって」といっていた言葉
子供の頃にヴェポラップ(胸や背中に塗る風邪薬)をぬってもらった母の手
数日前に3歳の娘に背中をとんとんされた時の癒し
です。「てあての力」は介護にも子育てにも、家族の枠を超えて、すごい威力をもっていると感じています。
必ずしも、ご家族でなくても、丁寧な「てあて」は効果的である事を知って頂きたいです。
施設や専門家の力を借りて、介護される側、ご家族の健やかな毎日をお手伝いしたいです。
本日も訪問先の施設では、入所されている方が作ったたくさんのおひな様が飾られていました。「なんでもコンパクトな方がいいよ!」という患者さんの手をさすりながら、コンパクトで素材も飾り方も大きさも様々なおひな様に、それぞれ形や事情を想いました。
写真は私の家のコンパクトなおひな様です。実家では、母がいよいよ七段飾りのおひな様をだすのが大変になってきたよと嘆いています。