昨晩の試合、序盤から距離感をつかみ、左ストレートのタイミングも合っていた。相手も右目を腫らしながらも強い圧力で旺盛に攻めてくる。
それには、僅かながらやり辛さを滲ませていた。
迎えた5R、左をのぞかせて誘い、ひとつタイミングを遅らせた右。フック気味のストレートは相手の顔面に吸い込まれた。
大阪の時にとった、ダウンとはひと味もふた味も違うものだった。
試合2ヶ月前から本格的なコンディショ二ングをはじめた頃、右の臀筋の膨らみ方、特に中臀筋が強くなっていることに気づいた。可動域にもかなりの左右差がある。
「右臀部の発達がすごいね?」
すると「右フックを練習してるんです…効かせるための」と松田選手からの返答に私も納得。
右の中臀筋は力を打つける壁になりますから、強い右フックのヒネリに耐えられる臀筋が必然的に発達してきたんだと分かりました。
仕上がりは最高で、計量後のコンディショ二ングでは身体のバネを最低限戻すだけにとどめました。また肩甲骨まわりの緊張は取り除きたいとオーダーがあったため、伸びのあるパンチを出すために必要な肩甲胸郭関節を機能的な使い方ができるよう、ファンクショナルマッサージも行なった。
コンディショ二ングを終えて帰る時、松田選手から「前回のケアから数日の間で臀筋が緩み、可動域が上がったことで下半身の力が、右のフックに乗せられるようになった」と身体の連動性を実感したコメントをもらえた。
身体に触れてみて、プレー中の動きを想像し機能を読み解くことは、10年前から習慣化されているため、今回の松田選手の動きも大凡のイメージをしていましたが、それをはるかに凌ぐキレとパワーには驚きました。
鳥海会長のテクニカル的な指導をベースに、フィジカルトレーナーの松田先生の松健式メソッド運動で地金が磨かれたんだと思います。
その成果を試合で最大限に発揮するためにコンディショ二ングトレーナーとして「キレに対するアプローチ」を今回は意識しました。
それを、何より試合で体現し結果を出した松田選手は、昨晩後楽園ホールで一番輝いて見えました。